UART は SPI より優れていますか?
UARTとSPIのどちらが「優れているか」は、特定のアプリケーションや設計要件によって異なります。両者にはそれぞれ利点と欠点があり、状況に応じた選定が重要です。以下に、用途に応じた選定の参考となる比較を示します。
1. 通信速度
- SPI: 高速。システムによりますが、SPIは一般的に数MHzまでの高速通信が可能であり、高速データ転送が求められるアプリケーションに最適です。
- UART: 低速。UARTは一般的に1Mbps程度までの通信速度で、速度を重視する用途にはやや不向きです。
2. 配線本数
- SPI: 通常4本の信号線(MOSI、MISO、SCLK、SS/CS)が必要です。複数のデバイスを接続する場合、それぞれに個別のSSラインが必要となる場合があります。
- UART: データ線は2本(TX、RX)のみで構成されており、配線が少なくて済むため、配線数を抑えたいアプリケーションに適しています。
3. 全二重通信 vs. 半二重通信
- SPI: 全二重通信をサポートし、送受信を同時に行うことができるため、リアルタイムで双方向の通信が必要な用途で高いスループットを実現できます。
- UART: 通常は半二重通信であり、送信または受信のいずれか一方しか同時に行えません。そのため、常時双方向通信が求められる場面では効率が低下する可能性があります。
4. デバイス接続数
- SPI: 複数のデバイスを1本のバス上に接続可能で、各デバイスに専用のSS(スレーブセレクト)ラインを割り当てることで制御します。複数の周辺機器を扱うシステムに適しています。
- UART: 通常は1対1の通信に対応しており、複数のデバイスと通信する場合は、複数のUARTインターフェースかマルチプレクサなどの実装が必要です。
5. クロック同期
- SPI: 同期式通信であり、SCLK(クロック信号)を使用して送信側と受信側を同期させます。これにより、高速かつ高精度な通信が可能です。
- UART: 非同期通信であり、クロック信号を使用しないため回路設計が簡素になりますが、高速通信時には信頼性が低下する可能性があります。
6. エラーチェック
- SPI: 標準ではエラーチェック機能を搭載しておらず、必要に応じて設計者がエラー処理を実装する必要があります。
- UART: スタートビット/ストップビットおよびパリティビットによる基本的なエラーチェック機能が備わっており、ノイズの多い環境でも比較的信頼性の高い通信が可能です。
7. 用途
- SPI: センサー、ディスプレイ、メモリチップなどの周辺機器との高速データ転送に適しており、高速かつ効率的な通信が求められる組込みシステムで広く使用されています。
- UART: マイコン同士やGPSモジュール、Bluetoothモジュールなどとの低速通信によく使用されます。デバッグインターフェースや長距離のシリアル通信にも適しています。
以下の場合はSPIの使用が推奨されます:
- 通信速度が最重要要件である場合- 全二重通信が必要な場合
- 複数の周辺機器と通信する必要がある場合
以下の場合はUARTの使用が推奨されます:
- 配線をシンプルにしたい場合
- 通信速度の要件が中程度である場合
- 基本的なエラーチェックと信頼性を重視する場合
要するに、SPIは高速通信や複数デバイスとの接続に優れており、UARTはシンプルな1対1通信や中速通信に適しています。





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